餌食

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「ねえ、コレ何なの?」

真澄が一枚の写真を指でつまんだ。
その瞬間、もうダメだと思った。

我が侭な彼の、
甘えた声と、高飛車な態度。



「コレ何って聞いてるんだけどぉ。
誰この男。咲綺くん、浮気してんの?」
「いや、違うんですけど・・・。ハイ」
「じゃあ、何。言ってみて?
俺が納得するまで」

後ろから抱きすくめられて、
腕が俺の首に回される。
少しだけ込められた力。
問題の写真を俺の目の前にちらつかせ、
答えを待っている彼。

言い逃れは、きっと出来ないのだろう。

「それは・・・昔の、友達です、けど」
「昔?・・・北九時代の?」
「そうです。だから、何でもないんです」
「じゃあ、何でそんなに焦るの。
咲綺くん、目が泳いでるよ」



抱き付いたままの彼の顔が、
俺の顔のすぐ傍にある。
そんなに近くで楽しそうに笑みを浮かべられると
やはり、どうしても目で追ってしまう。

厭というほど、実は厭ではない。
その性格は別として、
しかし、事実、真澄は可愛いのだし?

「咲綺くん、俺見てる場合じゃないでしょ。
ほらぁ〜この男の子と何があったか言ってみなよぉ。
じゃなきゃ嘩月さんに聞いても良いんだよ?」
「何も無く、て。本当に」
「ホントに?」
「えぇ。友達なだけですから」

どうにか切り返す。
けれど、彼にはやはり敵わなかった。

「そっか。じゃあ、咲綺くんの片想いなんだね」



見透かされた気持ちを、
どう隠そうか。
いや、隠したところで、
きっとどうなりもしないし、
むしろ余計な事まで探られそうだ。

そう思った時、
何だかどうなっても良い気がした。

「俺は浮気なんてしませんよ」

浮気、って別に恋人関係でもない俺らが
口にするような言葉ではないだろうに。

「今は真澄くんが、大事です」

ただ、それは心にも無い言葉かというとそうでもなく、
若しかしたら願望に近いのかもしれないが。



大事と思えるような存在に
真澄がなってくれたらの話。



俺のセリフを受けた真澄は
きょとんとした目で俺を見てた。

「何か意外・・・」

たった一言だけ呟いて。

でも、相変わらずの彼は健在だった。

「でも、忘れないで。
権限を握ってるのは俺だからね」



瞼にキスされた。
もう慣れてきた仕打ち。
そうして、段々
愛されてる錯覚にすら陥る行為。

押し留める障害も想いも
もう、全部北九に捨ててきた。

ならば、此れからは追う方ではなく、
追われる方になってみようか。

彼の餌食としての、
価値が俺に有るかは解らないけれど。




f i n


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2001年06月25日 3:50:28///Hanayo*Scar


最近先升萌えすぎですよね、うちら。(笑)
いいんだよ、もう先升で。だって咲綺たんデカいし、ましゅは小さいし。(笑)
ていうかこれの元ネタわかる人いるの?!危険ネタです。内密に。
というか、途中で整然とする咲綺様が素敵です。惚れます///
咲綺様、きゅありぃにて再出発す。
(のち)

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