Temporary
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「例えばの話、俺が他に
好きな人が出来たって言ったらどうします?」

ベッドの中でこんな話をしてみた。
遊汝さんはそれを面白そうに聞いていて、
そしてこう答えた。

「まず、俺が見てやる。
それから、オマエに似合ってれば
許すけど・・・さあ。
つうかオマエ今時分好きなやついんだろ」
「そんな事ないですよ、
俺には遊汝さんだけです」
「・・・嘘つけ。いつからそんなに口が達者になったかな。
昔は従順で可愛いやつだったのにな」
「きっと、遊汝さんのせいですよ」

遊汝さんが俺の事を跨いだ。
俺はそんな遊汝さんを見上げて、
戯言を言ってみた。

「好きです」
「そのセリフ、聞き飽きた。
と、あと、告る時くらい本音言え」
「これが本音です」
「やめとけって」

迫ってくる身体に嫌気も差さずに、
唯只管、彼の意の侭身体を晒して。
何処に痕を付けられようと、
今は別に構わなかった。
この人の前にいる時だけ、
自分が救われるような気がするので。

それは、きっと自分よりも彼の方が
何倍も汚れているせいだろうが。



夜明け頃、けだるい身体を引きずって
遊汝さんの家を出た。
自分の家に着く頃には
外は既に朝の光に包まれていた。



家に入ろうとして一歩目で、身体が止まった。
そうして目を疑い、驚いたあとで、呆れた。

「何やってんの」

玄関先に、咲綺が体育座りをして待っていたのだ。

「おはよう、ございます」
「おはようございますじゃないでしょ。
何やってんの、こんなところで」
「真澄くん待ってた」
「・・・あのねぇ・・・」

ひとまず靴を脱いで、部屋に上がり込む。

「そんなところいないで、
こっちおいでよ」

手招きしてベッドの上に寝転んだ。
咲綺はそんな俺の横に座る。

「俺の事、待ってたって言ってたけど、何で?
俺、遊汝さんの家に行くって言ったじゃん」
「だって、心配だったんです・・・」
「俺はガキじゃないっつうの」

見上げた咲綺は、
遊汝さんのように迫ってはこない。
ただ、その視線が本当に真っ直ぐで、
やっぱり、痛かった。

「咲綺くん、俺の事嫌いじゃないの?」
「よくわかんないです」
「どういう意味で?」
「・・・いや、よくわかんないです・・・ただ、」
「ただ?」
「放っておけない存在ではあります」
「ああっそ」

素っ気無い、不貞腐れたような返事をしたけれど
実は内心嬉しかったりした。

咲綺の腕を掴んだ。

「え・・・?」
「一緒に寝よ」
「・・・・・・?」
「寝るだけ。傍にいてくれるだけで良いから」
「はい。・・・はい」

アザの残る腕で咲綺に抱き付いた。
咲綺はそのアザを指でなぞってから、
俺の隣に寝転んだ。

「俺だったら、こんな事しませんよ」
「いつになく強気なんだね。
普段は俺の方が強いのにこれじゃ逆じゃん」
「逆の方が良い時もあるんですよ」

何だか癪な言葉だった。
けれど、目を閉じて、
腕だけ伸ばしたまま眠った。



ようやく手に入れた、
仮の安息の地。
あとは、咲綺が何処まで俺についてくるかが、
問題のような気がする。

と、その前に、
自分は若しかしたら
人に甘えている方が合っているのかもしれない。



f i n


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2001年06月25日 4:18:18///Hanayo*Scar

華代ちゃんありがとー!
すごいね、この遊汝さん好きなの。ますの保護者みたいで。
咲綺様はやっぱり一枚上手なのよ。だって癒し系だから。
この話、ホント好きなんだよ。体育座りしてる咲綺さんが想像つきすぎて。(違)
MASUMIのスレてると自分では思い込んでるけど、
ホントは助けを求めてるっぽいトコロが、可愛いです。
多分咲綺様はそこをわかっているのでしょうね。
ということで、もっと書いてね♪(笑)

このオハナシを読んで描いたイメージ画は
こちら
へっぽこ絵でごめんよ。

<のち>

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