Clear Sky
―――――――――――――――――――――――――
「直さん…ちゃんと来てたんだね」
約束の場所には
愛しいあの人の姿
細いその肩を
不安気に震わせて
「うん。だって約束したでしょ。
真は必ずここに来るって思ってたから。
俺が忘れてるとでも思った?」
強気な言葉とは裏腹に震える肩。
その肩を抱き寄せると
震えは止まった
「来てるってわかってたよ。
なんか直さんの声が聞こえたような気がして。
オレのこと…呼んでた?」
「うん、ずっとずっと心の中で呼んでた。
不安だったから。一人で怖かったよ。」
どんなに騒がしい雑踏でも
君の声だけは、聞き取れるから
耳に響くんじゃない、心に響く君の声
世界が終わる日も、終わっても、
ずっと一緒にいようね
あの日の約束
まさかこんなに早くこの日が来るとは思わなかったけど
「別にオレは今まで通り真と一緒だから
何も変わらないんだよね」
そうだよ、二人何もかわらないよ
かわらないままで
生まれ変わっても
二人はまた出会って、
またギターを弾き、また愛し合うのだろう
「空が赤い…ね。燃えてるみたい」
「うん…あんなに澄んで真っ青だったのにね」
「沖縄のこと思い出してる?」
「うん、真が樹くんと遊汝くんに海に沈められたことね。」
「直さんだって水が怖くて入らなかったくせに。」
「あの時の空の色、忘れられないな。
青かった。ひたすら青かった。
吸い込まれそうだった。」
「青かった…うん、青かったね」
「仕事で忙しくて、空も見れんかった。
もっと見とけばよかった。
もう青い空は見れないんだよね…」
今度一緒に空を見よう
あの日の青い空を
雲が流れて
僕たちも流れて
吸い込まれそうなあの空を
君も思いだしてるの?
記憶の中の青い空は
終わりの前触れも見せず
ただ青くて
気が遠くなりそうなくらい大きくて
気付いたときには青は吸い込まれ
赤にかわり
そして灰色の雨を降らせていた
何時の間にか
その変化に気付く間もなく…
雲も溶けてしまったのか
空はただただ燃えるように赤く…
そしてよどんでいた
その空の下
2人で寄り添って
終わりの瞬間を待とう
「みんな何してんだろう」
「こんな時だからね
結構みんな事務所とかにいるかもね」
「最期の最期まで、みんなで笑ってそうだね」
「最期まで笑っていられたら幸せだよ」
「真は…オレと最期一緒で…幸せ?」
「最高に幸せだよ」
君と一緒にいることがシアワセ。
君の笑顔が僕の一番のシアワセ。
寄り添って眠ろう
最期の瞬間も、その笑顔を見ていたいから
「ねぇ…直さん熱い?」
「ん……」
赤い赤い君も とてもキレイ
あの日、オレ達を照らしていた真っ赤な太陽に
飲み込まれて溶けて消える
そんな最期もいいかもしれないね…
このまま溶けて2人混ざり合えばいいね
手を繋いだまま、2人で一緒に溶けよう
目を閉じて、今度目を開くときも
きっと隣には直さんがいる…そんな気がするよ
2人はずっと一緒だから
壊れていくこの世界で
2人出逢えたことも
2人こうして一緒にいることも
奇跡
また会うその日まで
寄り添いながら眠ろう
END
―――――――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――――――――わかる人にはわかったでしょう、元ネタはピエロの「クリアスカイ」です。
読んでると「何のこっちゃ??」って思いますよね…ハハハ。
これねー、一見ラブラブに見えますが、実はホラーですよ!
空が赤いっていうからね、太陽に飲み込まれるんでしょう、地球が。
そして最期の日、彼等は…っていう設定。
世紀末、終末論。
でもホントこういう日がいつか来るんだよね…怖いな…。
ちなみに、このハナシ、現代語のテスト中に書いたものです。アハ。(死)
<のち>
BACK