MY SAD LOVE


「…ねぇ、紺ちゃん聞いてる?」
「え、あ、うん聞いてるよ。で、何だっけ」
「あのねぇ…」

どんなにスムーズに話してる時でも、
一瞬訪れる
近寄りがたい雰囲気

瞬間的ではあるけど
俺を不安にさせるには充分すぎて

「そしたら直さんがさぁ〜」
「真に直撃?」
「そうそう!!あの2人ホンットおかしーよね
それを見たカイキさんがさー」

そう、その名をあげた途端、
覗く一瞬の表情

「そんでカイキさんが?」
無意識なのだろう
俺の考えすぎかもしれない
「カイキさんがなんだよー」
「え、あぁ」

その無意識の瞬間が
俺を苦しめる

昔、紺ちゃんはあの人の「モノ」で
でも今は俺の「もの」で

それを信じていたいけど

俺を好きだという
紺ちゃんの言葉を信じていたい

けど





「イスケは優しいね」
紺ちゃんの口からよく漏れる言葉

イスケ『は』優しいね

「でも紺ちゃんも優しいよ」


そのそつない半端な優しさが、
じわりじわり俺の首を絞める
ひと思いに殺してくれたら
どんだけ楽になれるんだろう




「あ、カイキさん」

部屋を出て、二人でぶらぶらしている所に
前から歩いてくる黒い人影は、カイキさん
俺の…ライバル(心の)

「おー、イスケと紺ちゃん。何やっとるん?」
「デートですよ」

そういって、俺の腕に自分の腕を絡ませてくる紺ちゃん。
嬉しいけど…これって何か不自然じゃない?

「そか、楽しそうで何よりだな〜」
「楽しいですよ。ね、イスケ。じゃぁ、俺達急ぐんで。」
「おう、また明日な」

紺ちゃん…もしや俺に気使ってる?

カイキさんとのことを
俺が薄々感づいてることは
紺ちゃんも分かってるみたい

それが紺ちゃんに
変な罪悪感を抱かせてるのか…

でもね
下手な正義感は、俺を苦しめるだけなんだよ

「紺ちゃん…」
「ん?何、早く行こうよ」

気を使うっていうことは
まだ彼のことを忘れていない証拠

全部忘れてよ
過去のことなんて全部忘れて
そして、俺を抱き締めてくれれば

俺は救われるのに

「まだカイキさんのこと好き?」
「何言ってんの。んなわけない
だって俺はイスケのことが…好きだし。」

そう言って俺に向ける笑顔が
妙に痛々しく感じるのは
俺の考えすぎなのか

今現実、紺ちゃんを愛しまくっちゃってる俺より
ノスタルジックに紺ちゃんから想われる彼の方が
全然カッコイイんじゃないの?

とか思ってみたり


「昔、カイキさんと何かあったの?」
知りたい気持ちと、突っ張る気持ちがぶつかって
一番訊きたいコトが言えない。


俺が問いただしたら、
紺ちゃんは自分が悪いのだと思って、
自分を責めるんだろう。
俺を不安にさせているのは、自分のせいだと。
気遣いの人だからね、紺ちゃんは。
ただたんに俺のエゴなのにね。


俺かっこわりぃ


何で紺ちゃんは俺を選んだんだろう
追憶?忘却?
彼の身代わりなら、こっちもイイ迷惑だ

なんて心の中で強がってはみるものの



だけど
だけど本当は
そんなことどうでもいいくらいに
紺ちゃんに惚れてるゆるぎない事実が
俺の弱味なのよ…





哀しい恋の結末は
全て紺ちゃん次第


end




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―――――――――――――――――――――――――


ずっとこの曲はイス紺だよな〜とか思いながら
ずっと書きたいと思ってたんですよ。
でも歌詞を文章かすんのってスゴい難しくて…
まんまじゃん!って感じになっちゃいました。(苦笑)

今度は、紺ちゃん側の視点で書いてみたいです。
でも結局紺ちゃんも威ッさんのこと大好きだと思うんですけどね。
威ッさん考えすぎ、ってことで。

 

 

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