Sweet Pain
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「痛っ」
「…NAOさん?」

後ろで作業をしていたはずのNAOが上げた声に、SINは振り返った。
視線の先には、譜面を片手に、呆然と佇むNAOの姿。
その指先に走った一条の赤い線に気づいて、SINは言う。

「あー、切っちゃったんだ。紙で切るとけっこう痛いよね」
「…………」

わずかに表情を歪めて、NAOはこくりと頷いた。
そうする内にも、傷口からは赤い液体が滲み出てくる。
自分が何でこんな怪我をしてしまったのか分からないとでも言いたげな表情のNAOに、
SINの顔にも思わず笑みが零れた。

「NAOさん、そんな顔するほどの怪我じゃないよ」
「でも、ギター弾きにくくなるから…」
「舐めときゃ治るって」
「え……、SINっ?」

俯いたNAOの手を取って、指先を口に含む。
傷口に舌を押しつけると、鉄の味がした。
それは当然なはずなのに、何だか妙な思いに駆られる。
…もしかして、一種の独占感?
この人の血の味まで知っている人なんて、きっと他にはいない――そんな思い。

「…SIN、血はおいしくないと思う…」
「まあね。でも、これでNAOさんの血の味、分かったし?」
「……ばか…」

困ったようなNAOに、冗談ぽい口調で返す。
途端に頬を染めるNAOの、小さな抗議の言葉すら愛しくて仕方ない。
前髪から覗く額に軽く口付けて、SINは微笑んだ。

「…これは、早く治るおまじない」

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これは4444hitとって下さったさゆりさんのリクエストでございます♪
ホントはLAREINEだったんですけど、断念(ごめんなさい)。
第二希望のシンナオになりましたです。
作者の雪緒さんからのコメント「製作時間30分・・・死」だそうです。
甘々がご希望とのことだったので甘々仕立てです〜。

<のち>

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