Lunacy
殴られて、蹴られて、蔑まれて、犯されて、
それでもあなたを嫌いになれない俺を、
あなたは気狂いだと言って嗤う。
俺の髪を掴んで顔を上向かせた、
そんな虐待じみた姿勢のまま、あなたはこう問う。
「これでもまだ、俺のことが好きなのか?」
だから、俺は答える。
「好きだよ」
「好きだよ、遊汝のこと」
「遊汝が何しても、何言っても、俺は」
なのに、あなたはいつも遮る。
いつもいつもいつもいつも。
せっかく答えても、俺の言葉なんか聞いてくれないね。
「ふざけんな。じゃあなんで逃げた。あぁ?」
…そう。
あなたが受け入れてくれる言葉は、一言だけ。
いつもいつもいつもいつも。
「…ごめんなさい」
分かってる。
全て自分の所為だって言う事くらい。
たった一度の裏切りで、すべてを失くした。
誰に何を言われても揺るがなかった信頼とか、
庇ってくれる腕とか、
俺だけに向けられたやさしい笑顔とか。
優しすぎた遊汝に、甘えすぎた俺。
あなたの優しさに縋ったままでいたくないから、
あなたの信頼も優しさも振りきって、逃げ出した。
あなたがそれを裏切りと言うなら、認めましょう。
だから、
殴られて痣を作っても、
蹴られて血を吐いても、
蔑まれて涙を零しても、
抑えつけられ、縛られて無理矢理に犯されても、
何をされても耐えるから。
あなたが望むだけ、何度でも謝るから。
床に這いつくばって謝れと言うなら、それでもいいから。
だから、もういちど信じて。
もういちどだけ、聞いてください。
どうしてもあなたを嫌いになれない、気狂いじみた俺の言葉を。
あなたが、好きなんです。
あなたのことが、嫌いになれないんです。
殴られて、蹴られて、蔑まれて、犯されて、
それでもあなたを嫌いになれず、
あなたをあいしています。
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2000.8.27
遊汝の怒る気持ちもよくわかります。
そりゃ裏切られたって感じたら優しくはできないでしょう。
優しさを踏みにじったわけだし。
それでもやっぱり遊汝が好きなミヤの気持ちも…わかるんですよね。
信じるって、難しいですね。