愛のカタチ
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「ねぇなんでゼッキーはそんなに遊汝さんのコト好きなの?」

机に突っ伏して上目遣いでこちらを見上げる零名。
さっきから何度も同じ質問を繰り返す。
樹と甘々ラブラブ〜な生活を送っているらしいこいつには、
俺の叶わぬ遊汝への想いが理解出来ないらしい。
だからって俺に聞くな、ボケ。

「だって遊汝さんさー怖いし、すぐ怒るしさー」

こいつ俺が答えないのをいいことに
遊汝のこと好き勝手いいやがって。
あぁ怖いさ。怒りっぽいさ。すぐ手を挙げるさ。
でもそんなんどーでもいいんだ、俺にとっては。

「カイキさんラブ〜だしさー、遊んでるしさー」
「知ってるよ」
「あまつさえ橙ちゃんまで泣かせてるしさー」
「うっせーな。てめー遊汝に言いつけっぞ」
「やめてよー」

そう言ってけらけら笑う零名。うぜぇ。

「そんなコト、この俺が一番わかってんだよ。バーカ」
「バカって言うなー。で、それでもやっぱ好きなの?」
「当たり前じゃん」

当たり前だよ。それがどうした?
遊汝の一面しか見てないお前には見えない面もあんだよ。
目先のモノにとらわれてると、本質が見えねーぞ。
なんて、俺ちょっとイイコト言うなーって、
俺も遊汝の全部しってるわけじゃねーけど。
でもまぁ零名よりは知ってるはず。

「ほんっとにゼッキーは遊汝さんのコト好きだよねぇ〜」

聞き飽きた、お決まりのそのセリフ。
そうだよ、好きだよ、悪いか

お前は気付いてないのかよ。
ふと見せる寂しげな顔とか、
影で一人悩んでる顔とか。

一見よどんだあいつの目の奥に見えるモノを
お前は見てないのかよ?

「つーか、お前はあのバカ樹のどこが好きなんだよ?あいつは正真正銘のバカだぞ。」
「えーそんなおバカなトコだよ。」
「お前なにげに毒舌だよな…」

得意気にニコニコ笑うけど、お前それ誉めてねーぞ。

「いっちゃんは優しいよ。
バカなこともたくさん言うけどね。でもそんなトコが好きなんだ〜。
だって俺が寂しい時は傍にいてくれるしね、
俺が電話すると…」
「はいノロケしゅうりょーーーう!!
お前らのノロケなんて聞きたくもねーよ。」
「ノロケじゃないもん、ほんとのことだもん!!」

言葉を遮られた零名は
少し怒ってふくれた顔をする。
そんな顔を見てバカ樹は「可愛い〜」とか思うんだろうけど、
俺からしたらただの憎たらしい顔にしか見えん。

小うるさいガキんちょ零名と、天然バカお人好し樹。
俺からはそーとしか見えないけど、
こいつらもこいつらでお互いのどっかに魅かれあって、
好きあってんだろーな。
好きになると、そいつのこと自然と目で追うようになるから、
自然に見えなかったもんが見えてくる。
そしてもっと好きになるか、幻滅するか。
そこはそいつ次第なんだろーけど。

何も考えてなさそうな零名と樹でも、
色々考えてお互いを好きなのか。
そう考えたら、なんか親近感わいた。


「俺、遊汝になりてーんだよ。」
「なんで??遊汝さんになりたいってどーゆーこと?」

遊汝になりたい。
これが俺の『愛のカタチ』
なんて、くせぇ言い方だけど、でも本心。

「…うっせ、教えねーよ」
「なにゼッキーむかつくー!」

遊汝になって
遊汝にのしかかってるもの
全部俺が代わりに背負ってやりたい。

こんなこと言ったら遊汝に
『お前バカだから無理だ』
なんていわれるだろうけど。
それでも俺がお前の代わりになることで
お前がラクになるんだったら、
俺はたくさん辛い思いしてもいい。

遊汝は絶対自分から頼らないやつだから。
俺は頼って欲しいけど。
でもあいつの性格上、絶対他のやつに頼らないってことわかってる。
一人で苦しんで、一人でバンドのこと考えて、
辛くても苦しくても、俺や…他のメンバーには絶対弱音吐かない。

遊汝は絶対にその苦しい胸の内を見せないから、
俺はいっそ遊汝になって、その苦しみを背負いたいんだ。

分かち合ってくれないならいっそ…俺は遊汝になりたいんだ。

「教えてくれないの?」
「お前がもっと大人になったらな。」
「なんだよ、歳そんなにかわんないくせにさー。……ま、いいや。
ゼッキーにはゼッキーの愛のカタチがあんだよねー」

ちょっと照れた顔で零名は言う。
なんだよ、なかなか物わかりいいじゃねーかよ。
そうだな
このクソガキ零名にも零名なりの愛のかたちってヤツがあんだよな。


俺のこの遊汝への想いは一生届かないかもしれない。
向こうが歩み寄ってくれない限り、
こっちから歩み寄っても拒絶されるだけだから。

俺は歩み寄ってくれる、その日を待つしかない。
でも遊汝のためならいつまでも待とう。
その日の為に自分を成長させて、あいつを待とう。



これが俺の「愛のカタチ」。





End


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ごめん。なんだかもう…。
元ネタ提供はめぐみちゃんですね。
ゼッキーがトークイベントかなんかでほんとに
「俺は遊汝になりたい、遊汝の良いトコも悪いトコも全部知ってるけど遊汝になりたい」
って言ったそうで。
それをチャットで聞いた瞬間、私の中で話が出来ました。(笑)
別にゼッキーの一人語りでもよかったんだけど、
ゼッキーと零名のコンビってのも面白いかなと思って、
あえて2人にしてみました。
樹さんの扱いが酷いね、ごめんなさい。

というか、書き終わってから雪緒ちゃんのイツレイSSと題名かぶってることに気付いた。(笑)
ごめん、雪緒ちゃん。

のち 2001/2/8


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